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2021-06-02

関節外科

腱板断裂とは

腱板断裂

加齢および繰り返す機械刺激、外傷を原因として腱板の腱線維が断裂した状態です。40歳以上の男性で右肩に好発、発症年齢のピークは60歳加齢変化で断裂を生じます。60歳で4分の1が、70歳で半数が断裂との報告もあります。断裂しても症状がない人もいますが、夜間痛、動作時の痛みなど、症状がみられたら治療が必要になります。

五十肩

50歳頃に肩を中心に痛みが生じ、時に腕まで広がりやがて自然に治っていく状態です。肩が痛いのが全て五十肩ではありません。中には関節鏡が必要な場合もあります。長年、投薬や注射で改善がない場合は、腱板断裂等があるかもしれません。

MRIでの評価と分類

正常腱板と断裂像

MRIでの正常腱板と断裂像

腱板断裂の大きさの分類

MRIでの腱板断裂の大きさの分類

小から大断裂までは再建を考慮し、MRIのsagittalを確認します。広範囲断裂は70歳未満ならASCR(大腿筋膜を使用)、70歳以上ならリバース人工肩関節の適応となります。
腱板は使っていないと脂肪に変わると言われています。

Goutallier分類(棘上筋の脂肪変性の程度)

ステージ 状態
Stage0 脂肪変性なし
Stage1 わずかに脂肪変性
Stage2 筋肉成分>脂肪成分
Stage3 筋肉成分=脂肪成分
Stage4 筋肉成分<脂肪成分

Stage0~2までは腱板再建を考慮し、Stage3と4は再建しても成績悪く再断裂がおきやすいとの報告もあります。

MRIでの正常腱板と断裂像

当院での腱板断裂の治療

当院での腱板断裂の治療フロー

当院での腱板断裂の手術治療

当院での腱板断裂の手術治療フロー

肩関節鏡手術について

肩関節鏡手術とは

φ4mmの内視鏡を関節内に挿入、大量の水(アルスロマチック)を流しながら手術します。

  1. 三角筋を温存できます。
  2. 5mmほどの傷が4-6か所程度、出血が少ない、侵襲の少ない手術。
  3. モニターを見ながら術野を共有でき安全.
  4. 常に洗浄、感染の可能性が非常に低い。

当院の手術室

当院の手術室の様子1
当院の手術室の様子2

手術の実際

手術時間:約1時間~3時間
消毒、麻酔、レントゲン等で更に1時間程手術室に滞在します。

  1. 滑膜切除:掃除、洗浄
  2. 肩峰下除圧:腱板の上の骨を削って腱板の通り道をつくります。
  3. 腱板縫合:Suture-bridge法といいます。
  4. 関節唇修復:必要に応じて骨頭を安定させる関節唇を修復します。
  5. 上腕二頭筋腱長頭(LHB)固定もしくは切除:必要に応じてLHBの処置を行います。

①滑膜切除、②肩峰下除圧

カニューラを設置してここから器具の出し入れをします。

滑膜切除、肩峰下除圧の様子1
滑膜切除、肩峰下除圧の様子2
滑膜切除、肩峰下除圧の様子3

③腱板縫合

U字型の中断裂
上腕骨頭(大結節Footprint)が露出してしまっている。

腱板縫合の画像

④関節唇修復

必要に応じて、上腕骨頭を肩甲骨関節窩に安定させる関節唇を修復します。

関節唇修復の画像

⑤上腕二頭筋長頭筋腱(LHB)の腱固定

術後1週してから肘を動かし始めます。最初のうちは無理に肘を伸ばし過ぎるのは禁止です。

LHBの腱固定の画像

腱板縫合(Suture-bridge法)の実際

腱板縫合(Suture-bridge法)のシェーマ

内側アンカー設置

内側アンカー設置1
内側アンカー設置2
内側アンカー設置3
内側アンカー設置4

吸収性アンカー(直径4.5から5.5mm)

吸収性アンカー

器具を使用して腱板に糸をかける

糸をかける1
糸をかける2
糸をかける3
糸をかける4
糸をかける5

外側アンカー設置

外側アンカー設置1
外側アンカー設置2

Suture-bridge完成

露出していた骨頭は見えなくなり、腱板で覆われています。

Suture-bridge完成

術後の経過とリハビリ

術後(ウルトラスリングの装着)

術後は3週間ウルトラスリングを装着して外転位をキープします(わきを閉じたらいけません)。

ウルトラスリング装着1
ウルトラスリング装着2
ウルトラスリング装着3

外転位を保つ理由は、手術中に軽度外転位で腱板を縫合しているからです。

手術中軽度外転位

ウルトラスリングのつけ外し、着替えの練習

退院までにリハビリで装具のつけ外し、着替えの練習を行います。
下の冊子をお配りします。退院までに自立します。

着替え練習の冊子1
着替え練習の冊子2

鏡視下腱板縫合術後リハビリの一例

装具(ウルトラスリング)固定期間も、痛みに応じた積極的な他動運動を行います(動かさないと血腫で癒着を生じてしまうからです)。

  • 手術翌日~3週で他動運動(リハビリの先生に動かしてもらう)開始、肘関節、手関節、手指も積極的に動かします。
  • シャワー練習、更衣練習自立すれば退院可。手術翌日よりシャワー可. 抜糸は術後約10日、入院期間は数日~約3週間です。
  • 退院後から外来リハビリ開始. 週2回程度から開始。
  • 3週で装具の枕を外します。それからは腋締めOKです。
  • 6週で装具完全にオフ、自動運動(自分で動かす)開始。
  • 2~3か月で肩の高さまでスムーズに手があがるようになれば車の運転、自転車許可。
  • 術後5ヶ月で外来リハビリ終了(自主練習へ移行)。重いものを持ったり運動したりは術後4~6ヶ月してからです。

退院後のリハビリ・外来受診の目安

外来リハビリは週2回程度 最長150日まで(厚生労働省の決まりです)
(経過によって頻度、期間はかわります)

時期 内容・目安
術後3週 Xp、装具の枕除去
術後6週 Xp、装具完全除去、自動運動開始
術後9週 可動域チェック
術後3か月 Xp、MRI、肩スコア
術後4か月 Xp
術後5か月 診察のみ、外来リハビリ終了
術後半年 Xp、MRI、肩スコア
術後8か月 Xp
術後10か月 診察のみ、経過良ければスキップあり
術後1年 Xp、MRI、肩スコア

術後の評価と成績

術後半年で再建腱板の評価をMRIで行います

腱板の再建具合を評価します。Type1(最もいい)~5(最も悪い)。
Type4、5であっても求心位がとれていれば問題ありません。

菅谷分類

タイプ 状態
Type1 腱板に厚み、一様に低信号。
Type2 腱板に厚み、一部に高信号混在。
Type3 連続性は保たれているが厚みがない。
Type4 一部のスライスで連続性がない。
Type5 連続性の途絶部分が大きい。
菅谷分類のMRI画像

術後成績

当院で肩関節鏡手術を受けられる方は、術前、術後3か月、6か月1年で、診察所見、画像所見、アンケート(自覚症状)をもとにスコア(JOAスコア、VAS、UCLAスコア)を測定しています。
JOAスコア、VAS、UCLAスコアすべて、術前より徐々に改善しています。

術後成績1
術後成績2

肩関節鏡手術は、すぐによくなる手術ではありません。
手術からスタートで、手術後の外来リハビリが非常に大切です。
時に痛みを伴うこともありますが、時間の経過とともに楽になっていくことがほとんどです。
痛みがあってリハビリが進まないときは、注射や内服でコントロールします。

JOAスコアグラフ
VASスコアグラフ
UCLAスコアグラフ